東京23区のうち、11区(練馬区、板橋区、杉並区、中野区、世田谷区、大田区、葛飾区、江戸川区、足立区、北区、目黒区)に、農地が合計833.8ha(8.33㎢)あります。
令和4年4月時点での練馬区には、東京23区農地全体の 37.6%、313.5ha(3.135㎢)と最も広い農地があります。
主な作目は野菜で、特産のキャベツ、カブ、ホウレンソウ、カブ、コマツナ等の品目が生産されています。また、練馬大根などの江戸東京野菜として知られる伝統的な野菜を栽培している農家もあります。
野菜のほかには、ブルーベリーなどの果樹類も生産されています。
私は、練馬生まれの練馬育ちで、畑が大好きです。
子どもの頃は、近所の子ども達と、実家から自転車で新青梅街道を関町、石神井台、上石神井、上井草と走り三宝池・石神井公園池と遠征して遊び回りました。
自転車で走る練馬の大空と大地には、畑の景色と長閑な田園風景が広がっていました。
練馬の畑は毎年減少し続け、現在、自動車で走行する新青梅街道の車窓の景色は一面のマンション群に様変わりしました。
農業生産者の平均年齢も70歳以上に高齢化し、後継者がないまま畑を手放して、地価高騰により宅地開発が加速する現状にあります。
都市型農業の重要性は、地産地消の農産物・食料自給ということが第一ですが、
同時に、畑は区民の抱え替えの無い自然環境であり、自然災害への防災には欠かせない緑地であるということです。三つの法律も施行されました。
第一に、都市農業の持続可能性向上と農地の防災機能拡充を目的に「都市農業基本法」が2015年4月に施行されました。
第二に、特定生産緑地制度を新設した改正生産緑地法が2018年4月に施行されました。
第三に、農業生産者の高齢化と後継者不足に対処するため生産緑地の賃借を実現可能にした「都市農地の貸借の円滑化に関する法律」が施行されました。
新青梅街道の車窓に現存する畑は、石神井台でサミットと複合商業施設を運営するオザキフラワーパークの丘陵地から丘陵上に広がる畑だけになりました。畑の一部は、農業体験農園として区民に提供しており、農業生産者として成功している事例であると、私は考え畑を眺めるたびに感動しています。
行政書士として、私に都市型農業で出来ることがないかと畑を眺めながら迷っていたときに閃いたのが、練馬大根をはじめとする地元野菜のブランド化を目標にしての品種登録業務です。
JAあおばで購入した野菜はどれもスーパーの野菜と比較にならないくらいに新鮮で美味しい野菜ばかりでした。
その新鮮で美味しい野菜が品種登録の対象であれば、お手伝いをして品種登録を出来たらどんなに素晴らしいかと思うところが、行政書士業務にしている動機です。品種登録後のライセンスは、立派な知的財産「農作権」であります。
練馬大根創作料理の数々
1⃣ 品種登録制度について
種苗法に基づき、新品種の育成者が農林水産省に出願をして審査を受け受理された場合に農林水産省「品種登録名簿」に品種登録されますが、登録後に育成者権(種苗法第19条第1項)という知的財産権を生じさせる制度が品種登録制度です。
品種登録後に育成者権者は、登録品種など※を排他的に独占して利用する権利を取得します(種苗法第20条第1項)。
※従属品種及び交雑品種にも育成者権があります(種苗法第20条第2項)。
2⃣ 育成者権の有償譲渡・質権設定の概要
育成者権は、有償譲渡・質権設定ができる知的財産権です。
(1)有償譲渡
① 専用利用権を有償譲渡する方法
有償譲渡契約を締結して、専用利用権の譲受人が登録された品種を排他的に利用できるようする方法です。
なお、有償譲渡の効力は、農林水産省「品種登録名簿」に専用利用権を登録することにより発生します。
② 通常利用権を有償譲渡する方法
有償譲渡契約を締結して、通常利用権の複数の譲受人たちが登録された品種を自由に利用できるようにする方法です。
ただし、専用利用権と異なり排他的利用権が無いため育成者権侵害行為に対して通常利用権を主張して対抗することができません。
(2)質権設定
① 育成者権に質権設定する方法
育成者権者は、農林水産省「品種登録名簿」に登録された品種を利用できなくなります。
なお、質権設定の効力は、農林水産省「品種登録名簿」に質権設定を登録することにより発生します。
② 専用利用権に質権設定する方法
専用利用権者が、育成権者の承諾を得て質権を設定することができます。
専用利用権者は、農林水産省「品種登録名簿」に登録された品種を利用できなくなります。
なお、質権設定の効力は、農林水産省「品種登録名簿」に質権設定を登録することにより発生します。
③ 通常利用権に質権設定する方法
通常利用権者が、育成権者の承諾を得て質権を設定することができます。
通常利用権者は、農林水産省「品種登録名簿」に登録された品種を利用できなくなります。
なお、質権設定の効力は、農林水産省「品種登録名簿」に質権設定を登録することにより発生します。
3⃣ 育成者権侵害行為に対する罰則等について
(1)刑事罰
育成者権に対する故意の侵害行為(故意による第三者の無許諾利用行為など)を行った者には、10年以下の懲役(種苗法第67条)などの罰則が適用されます。
(2)民事上の損害賠償請求等
① 侵害行為を行った者に対する不法行為への損害賠償請求
(民法第709条)
② 侵害行為の差止請求(種苗法第33条)
東京デュークレイ行政法務事務所では、都市型農作権品種登録の御相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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