① 著作権の概要 -著作者人格権と著作隣接権-
広義の著作権とは、人格権と著作権に区分できます。
まず、人格権には、著作者人格権(1⃣著作者の人格や思想を原則的に保護するための権利〔下表1⃣①~③〕)と実演家人格権(3⃣実演家の人格や思想を原則的に保護するための権利〔下表3⃣①②〕)があります。
次に、著作権には、著作者著作権(2⃣著作者の収益権を原則的に保護する権利〔下表2⃣①~➉〕)と著作隣接権(4⃣実演家※1の収益権を原則的に保護する権利〔下表4⃣①~⑦〕)があります。
さらに、著作者と実演家以外の著作権として、5⃣レコード製作者※2の収益権を原則的に保護する著作隣接権(下表5⃣①~⑥)と6⃣放送事業者※3及び有線放送事業者※4の収益権を原則的に保護する著作隣接権(下表6⃣①~④)、7⃣プログラム著作者の人格や思想を原則的に保護する著作者人格権(下表7⃣①~③)と8⃣プログラム著作者の収益権を原則的に保護する著作隣接権(下表8⃣①~➉)があります。
なお、プログラム著作物については、プログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律(昭和61年法律第65号)による著作権法改正により、プログラム著作権登録制度がスタートした関係で、上記7⃣・8⃣として記述しました。
※1 実演家⇒俳優、舞踊家、歌手、演奏家、指揮者、演出家、ミュージシャンなど
※2 レコード製作者⇒レコードに固定されている音を最初に固定した者。
※3 放送事業者⇒放送を業として行う者。NHK、民間放送各社、放送大学学園など
※4 有線放送事業者⇒有線放送を業として行う者。CATV、有線音楽放送事業者など
表1⃣ 著作者人格権一覧 相続・遺贈の対象外
権利名称 | 条文 | 権 利 内 容 |
①公表権 | 18条 1項 | 著作者自らが創作した未公表の著作物を公表するか否かの 決定権 |
②氏名 表示権 | 19条 1項 | 著作者自らが創作した著作物を公衆に向けて提供・提示す る場合の名義(本名・ペンネームなど)の表示決定権 |
③同一性 保持権 | 20条 1項 | 著作者自らが創作した著作物を第三者に無断で変更・切除 その他の改変される事を拒否し、著作物についての同一性 保持を要求できる請求権 |
表2⃣ 著作者著作権一覧 相続・遺贈の対象
権利名称 | 条文 | 権 利 内 容 |
①複製権 | 21条 | 著作物を印刷や複写などの方法で、別の形に再製する権利 |
②上演権 演奏権 | 22条 | 著作物を上演、演奏する権利 |
③上映権 | 22条 の2 | 著作物を公に上映する権利 |
④公衆 送信権 伝達権 | 23条 1項 2項 | 著作物を公衆からのアクセスに応じ受信装置を使って自動 的に放送・有線放送などをする権利 |
⑤口述権 | 24条 | 著作物を朗読の再生などの手段で、口頭で公に伝える権利 |
⑥展示権 | 25条 | 美術品などの著作物、未発表の写真著作物の現作品を公に 展示する権利 |
⑦頒布権 | 26条 | 映画の著作物の副生物を販売、貸与する権利 |
⑧貸与権 | 22条 の2 | 映画以外の著作物の副生物を貸与する権利 |
⑨翻訳権 翻案権 | 27条 | 著作物を翻訳、編曲、変形、翻案などをする権利 |
➉二次的 著作物 利用権 | 28条 | 自身の著作物を原作とした二次的著作物の利用において、 二次的著作物の著作権者が持つものと同様の権利 |
表3⃣ 実演家人格権一覧 相続・遺贈の対象外
権利名称 | 条文 | 権 利 内 容 |
①氏名 表示権 | 90条 の2 | 実演家自らが創作した著作物を公衆に向けて提供・提示す る場合の名義(本名・ペンネームなど)の表示決定権 |
②同一性 保持権 | 90条 の3 | 著作者自らが創作した著作物を第三者に無断で変更・切除 その他の改変される事を拒否し、著作物についての同一性 保持を要求できる請求権 |
表4⃣ 実演家著作隣接権 相続・遺贈の対象
権利名称 | 条文 | 権 利 内 容 |
①録音権 及び 録画権 | 91条 | 自分の実演を録音・録画する権利 |
②放送権 及び有線 放送権 | 92条 | 自分の実演を放送・有線放送する権利 |
③送信 可能化権 | 92条 の2 | 自分の実演を端末からのアクセスに応じ自動的に公衆に 送信し得る状態に置く権利 |
④譲渡権 | 95条 の2 | 自分の実演の録音物又は録画物を公衆に譲渡する権利 (一旦適法に譲渡された実演の録音物又は録画物のその 後の譲渡には,譲渡権が及ばない。) |
⑤貸与権 | 95条 の3 | 商業用レコード(市販用のCDなどのこと)を貸与する 権利(最初に販売された日から1年に限る) |
⑥放送 二次使用 料受領権 | 95条 1項 2項 | 商業用レコードが放送や有線放送で使 用された場合の 使用料(二次使用料)を、放送事業者や有線放送 事業 者から受ける権利 |
⑦貸レコ ード報酬 受領権 | 95条 3項 | 1年を経過した商業用レコードが貸与された場合に、貸 レコード業者から報酬を受ける権利 (貸与権消滅後69年間) |
5⃣ レコード製作者著作隣接権 相続・遺贈の対象外(法人)
権利名称 | 条文 | 権 利 内 容 |
①複製権 | 96条 | レコードを複製する権利 |
②送信 可能化権 | 96条 の2 | レコードを端末からのアクセスに応じ自動的に公衆に送信 し得る状態に置く権利 |
③譲渡権 | 97条 の2 | レコードの複製物を公衆へ譲渡する権利 (一旦適法に譲渡された実演の録音物又は録画物のその後の 譲渡には,譲渡権が及ばない。) |
④貸与権 | 97条 の3 1項 2項 | 商業用レコードを貸与する権利 (最初に販売された日から1年に限る。) |
⑤放送 二次使用 料受領権 | 97条 | 商業用レコードが放送や有線放送で使 用された場合の二次 使用料を、放送事業者や有線放送 事業者から受ける権利 |
⑥貸レコ ード報酬 受領権 | 97条 の3 3項 ~ 7項 | 1年を経過した商業用レコードが貸与された場合に、 貸レコード業者から報酬を受ける権利 (貸与権消滅後69年間) |
6⃣ 放送及び有線放送事業者著作隣接権 相続・遺贈の対象外(法人)
権利名称 | 条文 | 権 利 内 容 |
①複製権 | 100条 の2 | 放送及び有線放送を録音・録画及び写真的方法により複製 する権利 |
②有線権 及び 再放送権 | 100条 の3 | 放送及び有線放送を受信して再放送したり、有線放送した り再有線放送する権利 |
③送信 可能化権 | 100条 の4 | 放送及び有線放送又はこれを受信して行う有線放送や再有 線放送を受信して、端末からのアクセスに応じ自動的に公 衆に送信し得る状態に置く権利 |
④有線 テレビジ ョン放送 伝達権 | 100条 の5 | テレビジョン放送を受信して画面を拡大する特別装置(超 大型テレビやビル壁面のディスプレイ装置など)で、公に 伝達する権利 |
7⃣ プログラム著作者人格権 相続・遺贈の対象外(個人・法人)
権利名称 | 条文 | 権 利 内 容 |
①公表権 | 18条 1項 | 著作者自らが創作した未公表の著作物を公表するか否かの 決定権 |
②氏名 表示権 | 19条 1項 | 著作者自らが創作した著作物を公衆に向けて提供・提示す る場合の名義(本名・ペンネームなど)の表示決定権 |
③同一性 保持権 | 20条 1項 | 著作者自らが創作した著作物を第三者に無断で変更・切除 その他の改変される事を拒否し、著作物についての同一性 保持を要求できる請求権 |
8⃣ プログラム著作権 相続・遺贈の対象(個人)
権利名称 | 条文 | 権 利 内 容 |
①複製権 | 21条 | 著作物を印刷や複写などの方法で、別の形に再製する権利 |
②上演権 演奏権 | 22条 | 著作物を上演、演奏する権利 |
③上映権 | 22条 の2 | 著作物を公に上映する権利 |
④公衆 送信権 伝達権 | 23条 1項 2項 | 著作物を公衆からのアクセスに応じ受信装置を使って自動 的に放送・有線放送などをする権利 |
⑤口述権 | 24条 | 著作物を朗読の再生などの手段で、口頭で公に伝える権利 |
⑥展示権 | 25条 | 美術品などの著作物、未発表の写真著作物の現作品を公に 展示する権利 |
⑦頒布権 | 26条 | 映画の著作物の副生物を販売、貸与する権利 |
⑧貸与権 | 22条 の2 | 映画以外の著作物の副生物を貸与する権利 |
⑨翻訳権 翻案権 | 27条 | 著作物を翻訳、編曲、変形、翻案などをする権利 |
➉二次的 著作物 利用権 | 28条 | 自身の著作物を原作とした二次的著作物の利用において、 二次的著作物の著作権者が持つものと同様の権利 |
② 著作権と相続の概要 -相続の対象・対象外-
1⃣著作者人格権・3⃣実演家人格権・7⃣プログラム著作者人格権
相続・遺贈の対象外となりますが、著作者・実演家・プログラム著作者が生存中に著作権隣接権を譲渡契約により売却した場合でも、譲渡契約に著作者・実演家・プログラム著作者の著作者人格権不行使条項がなければ、権利を譲り受けた側は、著作者・実演家・プログラム著作者による各人格権行使により制約を受ける事になります。
また、著作者・実演家・プログラム著作者が死亡した場合に各人格権は、一身に専属する権利(民法896条)として譲渡不可(著作権法第59条)であり消滅しますが、著作者・実演家・プログラム著作者の死後も各人格権の侵害となるような行為が禁止されています(著作権法60条、101条の3、116条)。また、法人が業務上制作した著作物やプログラムなどに各著作権を保有する場合には、法人の解散・破産により著作者人格権は消滅しますが、法人の解散・破産後も著作者人格権の侵害となるような行為が禁止されています(著作権法60条、101条の3、116条)。
したがって、ライセンス譲渡契約では、各人格権不行使条項の取り決めによるライセンス契約書(譲渡契約書はじめとする各種契約書)の作成は非常に重要となります。
2⃣著作者著作権・4⃣実演家著作隣接権・5⃣レコード製作者著作隣接権・
6⃣放送事業者及び有線放送事業者著作隣接権・8⃣プログラム著作者著作権
相続・遺贈の対象財産 ⇒2⃣著作者著作隣接権
4⃣実演家著作隣接権
8⃣プログラム著作者著作隣接権(個人)
相続・遺贈の対象外財産⇒5⃣レコード製作者著作隣接権(法人)
6⃣放送事業者及び有線放送事業者著作隣接権(法人)
8⃣プログラム著作者著作隣接権(法人)
相続・遺贈の対象(個人)となるもの対象外となるもの(法人)がありますが、著作者・実演家・プログラム著作者(個人)が生前に遺言書を作成して相続人に相続させることや相続人以外の内縁の配偶者や第三者に遺贈することが出来ます。なお、著作者が遺言書を作成していなかった場合には法定相続となり、相続人が不存在の場合には各著作隣接権は消滅します。
ただし、以下の「② 著作隣接権の保護期間」で記載しますが、法定される保護期間内に限り、著作者・実演家・プログラム著作者(個人)は著作隣接権=著作隣接権使用料の請求権及び受領権を相続させ・遺贈をする遺言書の作成もできますし、著作者の死亡により相続人・受遺者は、著作隣接権=著作隣接権使用料の請求権及び受領権を承継できます。
そのため、相続トラブルを予防するうえで遺言書の作成は非常に重要となります。また、遺言書の作成が無く相続が開始後した場合に著作隣接権の財産評価や遺産分割協議書の作成も非常に重要となります。
③ 著作権の保護期間-著作者死後70年原則-
包括的・先進的TPP協定(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の略称)が2018年(平成30年)12月30日に我が国において効力が生じ、原則的保護期間が50年から70年になりました。
我が国の著作権の保護期間は、原則として著作者が著作物を創作した時点から著作者の死後70年までと著作権法で規定されています。保護期間が経過すると著作隣接権は消滅してしまいますので、譲渡・相続などの時には相当の注意が必要となります。
著作権の保護期間の詳細は、下表1⃣のとおりとなります。
表1⃣ 著作物の種類と著作隣接権の保護期間
著作物の種類 | 条文 | 著作隣接権の保護期間 |
実名(周知の変名 を含む)の著作物 | 51条 52条 2項 | 著作者の死後70年※1⃣ |
無名・変名の著作物 | 52条 1項 | 公表後70年(死後70年経過が明らかで あれば、経過の時迄) 文化庁へ実名登録した場合には死後70年 ※1⃣ |
法人(会社等)・ 団体名義の著作物 | 53条 | 公表後70年(創作後70年以内に公表され なければ、創作後70年)※1⃣ |
映画(映像等を含む) の著作物 | 54条 | 公表後70年(創作後70年以内に公表され なければ、創作後70年)※1⃣ |
実演 | 101条 1項1号 2項1号 | 実演が行われてから70年※2⃣ |
レコード | 101条 1項2号 2項2号 | 音源の発行(CD発売等)が行われたとき から70年※3⃣ |
放送及び有線放送 | 101条 1項 3号4号 2項 3号4号 | 放送又は有線放送が行われたときから50年※4⃣ |
プログラムの著作物 | 51条 52条 1項2項 | ①個人の著作者 実名(周知の変名を含む)プログラムは、 死後70年、無名・変名のプログラムは、 公表後70年(死後70年経過が明らかで あれば、経過の時迄) 一般財団法人ソフトウェア情報センター へ実名登録した場合には死後70年 ②法人(会社等)の著作者 公表後70年(創作後70年以内に公表され なければ、創作後70年)※1⃣ |
死後、公表後、創作後の保護期間は、期間計算を簡便にするため、以下①から④のように計算されます。
※1⃣ <著作物(プログラム含む)の保護期間>
原則として、死亡・公表・創作の日が属する年の翌年1月1日から起算して70年後まで(著作権法第57条)。
※2⃣ <実演の保護期間>
実演を行った時から始まり、原則として実演が行われた日が属する年の翌年1月1日から起算して70年後まで(著作権法第101条第1項第1号、第2項1号)。
※3⃣ <レコードの保護期間>
原則として、発行が行われた日の属する年の翌年から起算して70年後まで。例外として、音を最初に固定(録音)した時から始まり音を固定(録音)した日の属する年の翌年1月1日から起算して70年後までに発行されなかったときは、音を最初に固定(録音)した日の属する年の翌年1月1日から起算して70年後まで(著作権法第101条第1項第2号、第2項2号)。
※4⃣ <放送及び有線放送の保護期間>
原則として、放送または有線放送を行った時から始まり、放送または有線放送が行われた日の属する年の翌年1月1日から起算して50年後まで(著作権法第101条第1項第3号・第4号、第2項第3号・第4号)。
④ 著作権(著作者人格権と著作隣接権)の登録
-第三者に対する権利の事実証明のため-
著作権は、登録手続きをしなくても権利自体は発生します。
しかし、以下①から⑧のような事例はどうでしょうか?
他にも多種多様な事例がありますが、典型的な事例だけを取り上げました。
① 著作物が他人に無断で使用される著作権侵害により著作使用料が半減する損害を受けた。
② 著作権を契約により譲り受けたが、二重譲渡されおり他人が著作権使用料を受取っていることが判明した。
③ 著作権を親から相続したが、親の生前に譲り受けたという他人が突然現れて受領済みの著作権使用料の返還と著作権の引き渡しを要求された。
④ 著作権を相続し遺産分割協議も成立して相続人2人で持分割合1/2で共有しているが、著作権使用料の受取資格と受取割合の証明書の提出を支払者の著作権管理団体から求められた。
⑤ 著作権の複製権である出版権を担保に銀行から融資を受けたいが、権利を証明する書類がない。
⑥ 著作権を譲渡したいが、権利を証明する書類がない。
⑦ 著作権を遺贈する遺言書を作成したいが、権利を証明する書類がない。
⑧ 以前に作成して無名で動画投稿し、今は有名になった自宅の絵画の著作権者が自分であることを証明して、著作権利用料を得たいが、権利を証明する書類がない。
我が国では、上記のような事例の他にも数多くありますが、自分の著作権を他人に主張立証して著作者人格権を行使することも著作権利用料を得ることも困難になります。
著作権登録が必要な最大の理由は、法的公示であり著作権を登録すると、著作者氏名と著作物発行年月日が公示され、事実証明となり他人に対して自分の著作者人格権と著作権を主張立証して対抗させることができるからです。
著作物の登録機関は、原則として文化庁著作権課ですが、プログラム著作物については、一般財団法人ソフトウェア情報センター(SOFIC)となっています。
著作権登録制度の一覧は、下表1⃣のとおりとなります。
また、登録された著作権の相談窓口となっている著作権管理団体が、著作物の登録機関である文化庁著作権課と一般財団法人ソフトウェア情報センター(SOFIC)を含めて31団体が著作物のジャンルごとに活動しています。
著作権管理団体の一覧は、下表2⃣のとおりとなります。
表1⃣ 著作権登録制度一覧表
登録制度 | 条文 | 登録内容 | 登録の法的効力 | 申請権者 |
実名の登録 | 75条 | 無名又は変名での 公表著作物を著作 者実名(本名)で 登録 | ①登録者が著作物 の著作者と推定 ②保護期間 公表後70年間から 著作者死後70年間 へ延長 | 著作者が 遺言により 指定する者 |
第一発行 年月日等 の登録 | 76条 | 著作権者又は無名 ・変名での公表 著作物の発行者 による最初の発行 又は公表年月日 の登録 | 登録年月日に 著作物が第一発行 又は第一公表した ものと推定 | 著作権者 又は無名 ・変名で の公表 著作物の 発行者 |
創作年月日 の登録 | 76条 の2 | プログラムの著作物の 著作者による当該プロ グラム著作物創作年月 日の登録 | 登録年月日に プログラム著作物 を創作したものと 推定 | 著作者 |
著作権・ 著作隣接権 の移転、 信託の変更 又は処分の 制限の登録 | 77条 | 著作権・著作隣接権の 譲渡等、又は著作権・ 著作隣接権への質権の 設定等があった場合に 登録権利者又は登録義 務者による著作権・ 著作隣接権の登録 | 登録により権利の 移転等について 第三者対抗要件 具備(他人に対抗 できる法律効果) | 登録権利者 ・義務者の 共同申請 ※ 登録権利 者による 単独申請 も可能 |
出版権又は 出版権目的 質権の 設定・移転 ・変更、 消滅又は 処分の制限 登録 | 88条 | 出版権の設定・移転等 又は出版権への質権の 設定等をする場合に 登録権利者・義務者に よる出版権の登録 | 登録により権利の 移転等について 第三者対抗要件 具備(他人に対抗 できる法律効果) | 登録権利者 ・義務者の 共同申請 ※ 登録権利 者による 単独申請 も可能 |
表2⃣ 著作権管理団体一覧表
⑤ 著作権(著作隣接権)等の価格
著作権(著作隣接権)等のライセンス価格は、印税と通称呼ばれている金額を基礎に計算されます。
印税は、譲渡のときにライセンス指標価額の計算基礎単価となり、相続のときに相続税評価の基準格額の計算基礎単価となります。
印税は、代表的なものとして、本などや音楽CD・DVDなどが例示できます。
通常、ライセンス契約で規定されることが多いのですが、本などの売り上げに対する持分割合(下表1⃣)や音楽CD・DVDなどの売り上げに対する持分割合(下表2⃣)のうち著作者や作詞家・作曲家・アーティストの持分割合を基礎として印税価格が決定されます。
著作権(著作隣接権)等のライセンス価格は、譲渡日や相続日の属する月前3年間の年平均額に、評価倍率※を乗じて算出した価格を基準とします。
※評価倍率⇒今後の予想収入期間に応じる基準年利率と複利年金原価率を確認し、評価倍率とします。
なお、今後の予想収入期間の判断は、印税の支払者に確認する方法もありますが、結論を導きだすまでが著作権(著作隣接権)に精通している専門家への相談するなどの慎重な判断が必要となります。また、事前準備資料として、金融機関などへ振り込まれた履歴や、支払われたという証明書類(支払調書)から確認して、3年分の平均額を計算して求めた著作権(著作隣接権)等のライセンス価格の根拠資料も必要となる場合があります。
参考:国税庁HPより引用
★印税の計算方法 商品税抜単価✖年間売上数✖印税率(売上への持分割合)
事例 ミリオンセラー漫画作家HTの1年間の印税
漫画本税抜単価700円✖年間売上数100万部✖印税率8%=5,600万円
★著作権(著作隣接権)等のライセンス価格の計算方法
過去3年間の平均印税収入✖0.5✖評価倍率※(=今後の予想収入期間に応じる基準年利率に対応する複利年金原価率)
※国税庁の基準年利表及び福利表を確認
事例 ミリオンセラー漫画作家KKのライセンス価格
・漫画作家KK引退に伴う令和4年12月に出版社S株式会社にライセンス譲渡
・ライセンス譲渡譲渡契約業務を特定行政書士HTに委任
・過去3年間の平均印税収入は4,500万円
・特定行政書士HTによる関係機関への綿密な調査及び連携税理士MWの税務調
査により、今後の予想収入は25年と判明
ライセンス価格
4,500万円✖0.5✖22.719=5億1117万7500円
上記の事例は、譲渡の場合ですが、相続の場合にも同様に計算します。
表1⃣ 本などの売上持分割合
売上への持分権利者 | 売上への持分割合 |
著作者印税 | 5%から10%(著作者印税率) |
出版社 | 55%から60% |
書店取次 | 8% |
書店 | 22% |
表2⃣ 音楽CD・DVDなどの売上持分割合
売上への持分権利者 | 売上への持分割合 |
アーティスト印税 | 1%から3%(アーティスト印税率) (プロダクションへのマージン含む) |
作曲家印税 | 23.5% |
作詞家印税 | 23.5% |
音楽・レコード制作会社 | 44%から46% (販売店取次・販売店分含む) |
一般社団法人 日本音楽著作権協会(JASRAC) | 6% |
文化庁登録免許税
登記,登録,特許,免許,許可,認可,指定又は技能証明の事項 | 課税標準 | 税率 |
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10 著作権の登録(著作権の信託の登録を含む。) | ||
(1)著作権の移転の登録 | 著作権の件数 | 1件につき 18,000円 |
(2)著作権を目的とする質権の設定又は著作権若しくは当該質権の処分の制限の登録 | 債権金額 | 1,000分の4 |
(3)著作権を目的とする質権の移転の登録 | 著作権の件数 | 1件につき 3,000円 |
(4)無名著作物又は変名著作物の著作者の実名登録 | 著作権の数 | 1件につき 9,000円 |
(5)信託の登録 | 著作権の件数 | 1件につき 3,000円 |
(6)第一発行年月日若しくは第一公表年月日又は創作年月日の登録 | 著作権の件数又は著作物の数 | 1件又は1個につき 3,000円 |
(7)抹消した登録の回復の登録又は登録の更正若しくは変更の登録 | 著作権の件数又は著作物の数 | 1件又は1個につき 1,000円 |
(8)登録の抹消 | 著作権の件数又は著作物の数 | 1件又は1個につき 1,000円 |
11 出版権の登録(出版権の信託の登録を含む。) | ||
(1)出版権の設定の登録 | 出版権の件数 | 1件につき 30,000円 |
(2)出版権の移転の登録 | 出版権の件数 | 1件につき 18,000円 |
(3)出版権を目的とする質権の設定又は出版権若しくは当該質権の処分の制限の登録 | 債権金額 | 1,000分の4 |
(4)出版権を目的とする質権の移転の登録 | 出版権の件数 | 1件につき 3,000円 |
(5)信託の登録 | 出版権の件数 | 1件につき 3,000円 |
(6)抹消した登録の回復の登録又は登録の更正若しくは変更の登録 | 出版権の件数 | 1件につき 1,000円 |
(7)登録の抹消 | 出版権の件数 | 1件につき 1,000円 |
12 著作隣接権の登録(著作隣接権の信託の登録を含む。) | ||
(1)著作隣接権の移転の登録 | 著作隣接権の件数 | 1件につき 9,000円 |
(2)著作隣接権を目的とする質権の設定又は著作隣接権若しくは当該質権の処分の制限の登録 | 債権金額 | 1,000分の4 |
(3)著作隣接権を目的とする質権の移転の登録 | 著作隣接権の件数 | 1件につき 3,000円 |
(4)信託の登録 | 著作隣接権の件数 | 1件につき 3,000円 |
(5)抹消した登録の回復の登録又は登録の更正若しくは変更の登録 | 著作隣接権の件数 | 1件につき 1,000円 |
(6)登録の抹消 | 著作隣接権の件数 | 1件につき 1,000円 |
別表第1 課税範囲,課税標準及び税率の表
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